【パリ=小笠原拓郎】24~25年秋冬パリ・メンズファッションウィークは、コンセプチュアルに思考しながら軽やかに仕上げたコレクションが目立つ。パターンメイキングにこだわりながらシンプルに仕上げたり、アイテムを合体させながら軽快に仕上げたり。ボトムレスやトップレスのコーディネートも登場している。
(写真=コムデギャルソン・オムプリュスとホワイトマウンテニアリングは大原広和、メゾン・ミハラヤスヒロはLuca Tombolini)
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コムデギャルソン・オムプリュスは、マスキュリンとフェミニンの間の現代のテーラーリングを模索する。マスキュリンの代名詞ともいえるテーラーリングをベースにしながら、極端なウエストシェイプを取り入れる。肩の大きさは通常のジャストサイズなのに、まるでコルセットのようにウエストを締め付ける。ウエストに縦にスラッシュを入れて無理やりボタンを留めるジャケット、ウエスト部分を折り畳んでぎゅっと締め付けるようにして着るジャケット、ボタンで留めれば普通に着られそうだがジップアップで無理やり細く着るジャケット。そんなタイトなウエストシェイプのテーラーリングが揃う。
ウエストを強調したテーラーリングのアクセントとなるのはたくさんのボタン。ジャケットのヘムラインやショルダーラインに沿って、たくさんのボタンがトリミングのように配される。それはビジュー刺繍のようにきらびやかな装飾ではないが、一つひとつのボタンそのものが刺繍のようなニュアンスとなってアピールする。
コムデギャルソンにとっては見慣れたものの一つであるインサイドアウトのテーラーリングも、今シーズンはちょっとニュアンスが違う。インサイドアウトという概念を主張することよりも、裏地のふわふわとしたドレープを強調する。タイトなものとそこからはみ出したようなニュアンスが今シーズンの隠れたキーワードで、靴も中敷きが外側にはみ出してしまう。静かなスタイルの中に、パターンメイキングのたくさんの技術とアイデアが散りばめられた。
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