23~24年秋冬パリ・コレクションは、60年代や70年代のエッセンスをちりばめたレトロなスタイルも多い。ブラウン系の幾何学模様、色あせたような壁紙柄、ドレスとベルボトムのスタイリングも目を引く。
(青木規子、小笠原拓郎)
新たなスタートのブランドも
新ディレクターを迎えたブランドやパリで初めて発表したブランドなど、新顔もいくつか出てきた。デイリーなイメージは控えめで、ドレッシーなドレスブランドが増えている。
アン・ドゥムルメステールは、ルドヴィック・ド・サン・セルナンによるコレクションで新たなスタートを切った。肌見せのセクシーなスタイルを得意とするデザイナーらしく、ファーストルックもラストルックも、上半身は胸元に羽根を一枚あしらっただけ。サテンが波打つマキシスカートで、ブランドを象徴する細く長いシルエットを表現した。セカンドスキンのようなシフォンのスキニードレス、レザー仕立てのタイトなスーツ。徹底的に体を主役にした服は既存ファンには難しそうだが、セールスでは定番もしっかり揃えている。今後どのように進化するか注目したい。
ピーター・デュンダスがデュンダスの名でパリ・コレクションに戻ってきた。会場はパリ・オペラ座。「ウンガロ」や「エミリオ・プッチ」などを手掛けてきたクリエイティブディレクターは、得意の優雅なイブニングスタイルを披露した。エッセンスはマリンテイスト。マキシ丈のピーコートやマントに、赤いミニドレスやキャプテンハット。ワイドなマリンパンツにはボディースーツを組み合わせる。金ボタンやベルベットのパンツが重厚な光沢を添える。
パリ出店を控えるパームエンジェルスは、パリで初のショーを行った。艶のあるブルゾンやテーラードジャケットに、レザーパンツといったラグジュアリーなストリートスタイル。シグネチャーのヤシの木のほか、星やブランド名のアルファベットをパッチワークしたり刺繍したり。キルティングブルゾンのステッチもよく見るとヤシの木になっている。ドレッシーとストリートの融合。