パルが新事業創造を促進へ 「マクアケ」活用しCF

2017/09/26 04:28 更新


 パルはクラウドファンディング(CF)サービスの「マクアケ」(サイバーエージェント・クラウドファンディングが運営)を活用して「プラスワンカテゴリー事業創造」を始める。社内から新ブランドや新事業へのアイデア創出と事業立ち上げを促進するのが狙い。第1弾は既存ブランドから出た4商品を26日から順次販売していく。

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 プラスワンカテゴリー創造は、社員がアイデアを出し、新事業を形にするまでを仕組みとして定着させるのが目的。同社は社員による新規事業申請を数十年前から続けており、その成果として50ブランドを展開する。しかし最近、新ブランド立ち上げは停滞。「ボトムアップの文化があっても、新事業でいきなり店舗を出すなどは難しくなっている」(小路順一取締役専務執行役員)という。

 そこで、まずアウトプットを前提にアイデアを募集・商品化し、投資する前にCFで消費者ニーズを探り、社員が仮説・改善しやすい仕組みを作る。

 26日から順次販売する4商品は、12のアイデアから絞ってCFを募る。バッグブランド「デイリー・ラシット」の「汚れないキャンバスシューズ」、ラシットの「バッグ素材を活用した撥水(はっすい)メンズナイロンコート」、ガリャルダガランテの「スタイリッシュに飲む中国茶」など。いずれもブランドの一員がアイデアを出し、チームを構成。商品開発から調達目標金額の設定まで毎週ミーティングを重ねたという。キャンバスシューズの調達計画は50万円。

 4商品は約1カ月ほど受注期間を設ける。この結果を判断して、来年から社員・アルバイト7000人に広くアイデアを募集。人材発掘の装置としての定着を狙う。

 新規案件を直営ECで試売することもできるが、「パルやブランドを知らない新規客が対象。真のニーズがどれだけあるのか、本当に購買してもらえる新事業かを問う。さらに事業ドメインを超えるアイデアが出てくればうれしい」と話す。マクアケがファッション領域で大手と組むのは初。他産業ではシャープと組んで日本酒のCFを実施し、1800万円の資金を得た実績がある。「大企業こそ新事業の種が多くあるにもかかわらず埋もれがちなため、大手企業がCFを活用する事例が世界で出ている。次世代リーダー育成として活用してもらいたい」(木内文昭サイバーエージェント・クラウドファンディング取締役)という。

26日から資金調達を開始するキャンバスシューズ 



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