《わが社の物流倉庫》パル「PRSC」 運用コストは3分の1に 自社ECの成長基盤

2024/04/24 06:29 更新


作業員は移動せずロボットがステーションまで荷物を運ぶ(ピッキングステーション)

 パルは、自社EC向けの物流施設「パルクローゼット・ロボティクス・ソリューション・センター」(PRSC)を稼働させた。

【関連記事】パル、自社EC向けロボット倉庫稼働 「パルクローゼット」28年度500億円達成の基盤に

 エグゾテックニホンの倉庫ロボティクスソリューション「スカイポッド」を導入し、2300平方メートルのスペースに5メートルの高さの保管棚を設置、2万5000個のコンテナを収納する。50台の自動搬送ロボットが棚の間を自動走行、棚を昇降して商品が入ったコンテナを取り出し、作業員がいる五つのピッキングステーションに運ぶ。ロボットは1時間の稼働、5分間の自動充電というサイクルで運用される。

保管棚を昇降するロボット

 棚は固定され、国内で広く使われている棚搬送型より棚を高くできる。PRSCでは5.5メートルの天井高に合わせて5メートルにした。棚搬送型の3倍の収納容量がある。ロボットの走行速度(秒速4メートル)も速い。コンテナを2分以内にピッキングステーションまで運ぶ。注文データ1件1件に対応するため、余った時間で順立てもでき、トラックが入ったらすぐに積み込むことも可能だ。

 パルはパルクローゼットの自社運営への切り替えに当たり、アッカ・インターナショナルをパートナーとし、EC事業拡大と業務効率化に取り組んできたが、入出荷作業は人手によるものだった。22年ごろには「倉庫もオペレーションも変わらないと今後の拡大は難しく、人員確保の困難さや人件費高騰などの課題もみえてきた」(堀田覚パル取締役専務執行役員)ため、アッカとともに、28年度EC売り上げ1000億円、うち自社EC500億円の目標を実現するための基盤作りに着手した。

堀田氏(右から2人目)、秀洋一アッカ・インターナショナル代表取締役社長(左端)、立脇竜エグゾテックニホンアジアパシフィック地域取締役社長(右端)、3社協業で作り上げた

 棚搬送型ロボットも検討したが、入居するDPL平塚の天井高を生かせば収納容量を大幅に大きくできるスカイポッドを選択した。スカイポッドを統合制御するミドルウェアが、アッカが提供するWMS「ワン」とECデータ統合管理システム「アリス」と連携する。アリスは店舗向けセンター・店舗も含めて在庫を一元管理し、商品をどこからでも出荷できる仕組みだ。

 「使用スペースの減少と人員減により3分の1のコストで運用できる」と堀田氏はいう。「PRSCができたことで成長への不安が一つ取り除けた」とも話す。自社EC300億円まで対応できる計画だが、棚・ステーション・ロボットを増やせば500億円まで対応できる見込みだ。

〈メモ〉パル「PRSC」

大和ハウス工業のDPL平塚(神奈川県平塚市)3階のEC向け物流センター(3300平方メートル)内に開設した。

関連キーワードデジタルニュース



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事