【ニューヨーク=杉本佳子通信員】25年春夏ニューヨーク・ファッションウィークは、「動き」に着目するデザイナーが目立つ。揺れる、振れる布の動きで、エフォートレスなラグジュアリーを表現する。そこにスポーツの要素を加えていくのが、今シーズンの特徴だ。
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オフホワイトは、スタイリストのイブラヒム・カマラがクリエイティブディレクターになって初のショー。カマラはこのコレクションを組み立てるにあたり、オフホワイトの創業デザイナーの故ヴァージル・アブローの出身国ガーナを訪れた。そして、スポーツウェアがアメリカとアフリカをつなぐ役割を担っていると考え、シャープなライン、アスレチックなインスピレーション、アフリカのフューチャリズムをコレクションの核と決めた。会場は、ブルックリン橋近くの波止場に面したバスケットボールコート。ダーツでボディーにフィットさせ、ウエストを絞ったボディーコンシャスなジャケットは、ラインを利かせたリブを付け、前はファスナー開き。透けるシフォンを重ねたスカートが、エレガントに揺れる。耳にはメタル素材で作った飛行機のイヤリング。対照的な要素をミックスしながら、スレンダーなシルエットにすっきり収めて、大人のスポーティールックにする。へその下まで深く落としたⅤネックのトップも、素材はスポーツウェアを思わせるプレーンなジャージー。シフォンのラップスカートから脚を露出させ、ミニマルで洗練されたスタイルを作る。腰にポイントを置いたデザインが多く、メンズはファスナーで裾を切り離したり、アウトポケットを振らせたり。ガーナのコンテンポラリーアーティストのナナ・ダンソによるカラフルなイラストとサーモンピンクのカムフラージュ柄で、ストリートの気分を加えた。
20周年を迎えた3.1フィリップ・リムは、ちょっと可愛くロマンティックになった。冒頭はフットボールジャージーを思わせるような思い切り膨らませて横に突き出した袖を付けたチュニック。ハンカチーフヘムが軽やかに揺れる。パンツも同じ総レースで、可愛いルックを作る。毛足の長いファーのような質感の素材、あるいは段々フリルを付けた洗いざらしのデニムで仕立てたマイクロミニスカートもキュートで楽しい。今シーズンのテーマは「ジョイ」(喜び)で、「Enjoy the Moment」のスローガンを入れたTシャツも見せた。
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