25年3月下旬に開催予定の定時株主総会および取締役会の決議後に社長に就く。事業会社(日清紡ブレーキ)での生産技術畑が長く、自らを「物事をグレーにしておくことは好まない。熟考したうえで明確な答えを出すタイプ」と言う。
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24年以降はエレクトロニクス事業が売上高全体の60%を超える見込み。ブレーキ事業は銅規制対応摩擦材で市場のトップランナーとしてシェアを拡大している。「喫緊の課題は〝稼ぐ力〟を付けること」と強調する。「無線・通信事業に大きなポテンシャルがあり、来年以降引き上げていく」と、自ら陣頭指揮を執る構え。具体的には「官公需ビジネスに向け、日本無線と日立国際電気の高度な技術を組み合わせ、シナジーを生み出していく」。
村上雅洋現社長は、「当社はエレクトロニクスを主体とした企業へと変革した。この領域での技術を理解し、マーケティング思考を加味した戦略を実行する社長が必要」とし、石井氏を「技術に精通し、突破力がある」と評価する。
繊維事業について石井次期社長は、「祖業として天然繊維のコットンを扱ってきた。しかし天然繊維という領域だけでは限界がある。衣料業界の動向を見極める必要がある」として、「ビジネスモデルをどう変化させることができるのか、時間的な制約も勘案しながら答えを出していく」考えだ。59歳。
(民)