日華化学、新たに非フッ素撥水剤 ハスの葉構造で

2017/12/19 04:25 更新


 日華化学はこのほど、非フッ素撥水(はっすい)剤「ネオシードNR」シリーズで従来よりも撥水性能を向上した新商品を開発した。生地に付与した撥水剤自体に微細な凹凸が現れるよう改良し、ハスの葉のように空気層を含むことで水滴の転がり性を高めた。

 ハスの葉の表面は微細な突起で覆われ、水を弾く。点接触するのに加え、突起表面もナノサイズの細かい凹凸を持つことで間に空気を含み、水滴がすべるメカニズムだ。織物や編物の表面をハスの葉構造にすることで撥水性を高める工夫は以前からあるが、撥水剤そのものにハスの葉構造を持たせる発想は珍しい。

 非フッ素撥水剤はシリコン系やアクリル系などあるが、今回の開発品は複数の剤を組み合わせた。水中で生地に付与した後、乾燥工程で熱が加わって一度ばらけた分子が、冷却する際に同じ物質同士で凝集する力を利用し、生地表面に目に見えない微細な凹凸を点在させる。

 初期撥水が「C6フッ素タイプに近い性能が出せた」といい、来年1月末に独ミュンヘンで開かれるスポーツ見本市、ISPOに出展し、世界のスポーツアパレルにアピールする。

 素材はナイロン、ポリエステルに対応し、綿などもテストする。価格は従来の非フッ素タイプと同等で、コストメリットも訴求。耐久性、風合い、すり傷などの耐性、縫い目滑脱抵抗など物性も良好。また、突起の間隔を工夫することで、「非フッ素撥水剤では出せなかった撥油性も理論的には可能」として、さらなる機能向上を目指す。

C6フッ素タイプに近い初期撥水を実現した
撥水剤と水滴の間に空気層を含むことで転がり性が向上



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