【知・トレンド】《ニュースサクサク》新型肺炎の影響 世界のサプライチェーンに波及 加速するベトナムシフト、日系ブランドには懸念も
新型コロナウイルスの感染拡大が、世界のサプライチェーンに波及している。中国からの生地や糸といった原材料の供給に遅れが出ているからだ。日本にとって中国に次ぐ縫製拠点であるベトナムも大きな打撃を受けている。中国で縫製していた製品の振り替えが増えているが、原材料不足によって晩夏や秋冬商品の納期遅れの懸念も出てきた。チャイナリスクが顕在化したことで、中長期的にはグローバル大手アパレルの縫製拠点はベトナムを中心とした東南アジアシフトに拍車がかかる。
(藤川友樹)
【関連記事】【新型コロナウイルス情報】専門店やアパレルで入荷遅延広がる 状況緩和は5月以降
中国人技術者が不在
現地に進出している日系服飾副資材メーカーによると、中国からの振り替え生産に伴った副資材の受注が増えている。ファスナーやミシン糸などの定番商材を中心に、縫製工場からパニックに近い形のオーダーが相次いだという。
副資材の原材料も中国からの調達に頼っているが、「2、3カ月分は備蓄している」(ミシン糸のエースクラウンなど)とテト休暇(ベトナムの旧正月)までに数カ月分を手配しており、「当面は問題なく工場は稼働できる」(ブランドタグやパッケージ主力のテンタックなど)ところが多い。YKKベトナムは北部ハノイと南部ホーチミンに原料からの一貫生産工場を構えており、「工場はフル稼働」している。
ただ、ベトナムの縫製工場では「少なく見積もっても原材料の5割は中国からの輸入に依存している」(大手副資材メーカー)といい、振り替えに応じられるだけの生産能力は限定的だ。また、中国系の工場では技術責任者がベトナムに再入国できずに混乱しているケースも多発した。振り替えはまとまったロットを発注するグローバル大手アパレルやスポーツブランドが優先され、日系向けは断られたところも多いという。