蚊帳、靴下、履物――奈良を代表する伝統産業だ。OEM(相手先ブランドによる生産)が中心だった時期が長いため情報発信が弱かったが、ここにきて直営店の新設をはじめEC販売の強化やSNSの発信、海外市場の開拓など新たな動きが目立つ。人材の確保が難しくなるなか、地場産業の魅力を伝えたいとの思いも強い。
(小畔能貴、山田太志)
欧米市場も開拓
エアコンや網戸、殺虫剤の普及などを背景に、60年代から需要が大きく減少した「奈良蚊帳」。その後、寒冷紗や産業用資材向け補強材などにシフトし、時代を乗り切ってきたのが丸山繊維産業(天理市)だ。1920年に創業し、整経・サイジング・職布・染色仕上げを一貫する唯一の産地メーカーでもある。早くから自社ブランドを手掛け、現在は繊維資材が40%、ラッピング資材「マルラップ」および蚊帳生地を主とする生活雑貨「ならっぷ」が60%を占める。
05年には奈良市街の奈良町に直営店を設け、企画・デザイン室を設置。13年以降は米ニューヨークナウや独アンビエンテなど海外展示会への参加を通じて欧米市場の開拓を本格化した。今春には販売代理店を通じて台湾の展示会にも初出展した。
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