日々、私の下には様々な声が届きます。学生の挑戦、社会の変化を映す市場の動き、そして組織を支える現実。一見、異なる課題ですが、根底には共通するものがあると感じています。
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私はこれまで多くのコレクションや学生作品を見てきました。優れた感性や技術があっても、ビジネスとして継続する難しさに直面する人は少なくありません。新しさだけを追えば培ってきた魅力や信頼を失い、過去をなぞるだけでは新たな価値は生まれません。
この葛藤は、就任2年目の文化出版局局長としての日々にもあります。読者の情報との接し方が変わるなか、紙という財産を守るだけでは出版文化を守れない。だからこそ、デジタルや新しい届け方にも挑戦する必要があります。しかし、効率だけを追えば、出版局が培ってきた編集力や美意識まで失ってしまう。「何を変えて、何を絶対に変えないのか」。その問いに向き合う毎日です。出版は文化であると同時にビジネスです。文化を守るためには、ビジネスとして持続させなければならない。守るために変える――その決断こそ、経営なのだと実感しています。
教育も同じです。人を育てるには、変える勇気だけでなく、成長を信じて待つ勇気も必要です。
本大学院の20年を礎に、学長として、そして出版局長として、次の時代につながる価値を育んでいきたい。守ることも、変えることも、未来へ紡ぐために。新たな挑戦は、まだ始まったばかりです。
(文化ファッション大学院大学学長、文化出版局局長 櫛下町伸一)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。
