「忙しくて時間がありません」。ある講演会で学生が手を挙げて発言した。ファッション誌の元編集長による講演で、「自分自身で考え、動くことの大切さ」を伝えていた時だった。学生は、忙しくて自分の中にある常識を疑ったり見つめ直したりする暇がない、という意見だった。
ミヒャエル・エンデの『モモ』が日本語に翻訳されて今年で50年を迎える。人の時間を盗もうとする「時間どろぼう」に、主人公のモモが立ち向かうという話だ。時間とは何か、豊かさとは何かを考えさせられる本として半世紀にわたって読み継がれてきた。
現代は本当にたくさんの時間どろぼうが潜んでいると思う。SNS、サブスクリプション(定額課金)、ネットニュースなど刺激的で魅力的なコンテンツがあふれている。スマートフォンの画面をぼーっと見つめ、時間を奪われていないだろうか。
学生の主張に対し、講師は「言い訳しているだけだよね」と一刀両断。時間の使い方は自分で決められると言われ、学生ははっとしていた。
(坂)
