ルクア大阪にトキメキ事業部という小さなチームがある。妄想ショップ、ムダ満喫CLUB、大人の泥団子づくり。生活者のため息を拾う企画ばかりだが、完売とキャンセル待ちを連打している。
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先日、AI(人工知能)が反響から拾い上げた1行に出会った。「インスタで見ているだけで、豊かな気持ちになる」。読んで手が止まった。
来ていない。買っていない。歩いてもいない。それなのに、もう豊かだという。レジの外側で何かが始まっている。
「中身は同じ、看板が違うだけ」。商業施設が長く言われてきた言葉を裏返したくなった。何を外したらもう〝うちの館らしさ〟でなくなるのか。1枚ずつ外してみる。
立地を。フロアを。館名を。セールも外す。どれも痛い。けれど、外したものは〝他の館〟にもある。
ところがトキメキ事業部を外した瞬間、戻せない何かが消えた。数字には映らないものだ。
動員数という数字で測ってきた。だけど軸はそこになかった。館の外から眺めて少し憧れて、いつか行きたいと思う人を、まだお客でないと言い切れるだろうか。
そう思ったとき気づく。豊かさの中身は、その人の暮らしの隣に座らなければ分からない。
ブランドの芯はたぶん人だ。誰かのため息に耳を澄まし、面倒なことを丁寧にやり遂げる社員の姿。そして、会ったこともない誰かが外から見ている。
「らしさ」とは自分で名乗るものではない。誰かが外から見て、最後まで〝外せなかった〟ものである。
(JR西日本SC開発社長 竹中靖)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。
