京都や奈良の寺を回ると、神仏の背後に炎のような飾りをよく見る。不動明王を思い浮かべる人も多いだろう。これは「光背(こうはい)」や後光と呼ばれ、神仏の発する神聖さを造形で表現したものだ。光背は仏教だけでなく、古代の様々な美術に共通する手法の一つだ。
もともとは火を清浄や神聖の象徴とする古代ペルシャのゾロアスター教が起源だという。西アジアで広く信仰され、後に拝火教として唐にも伝わっていった。一説によると、仏教に信仰を変えた人たちも、火に対する信仰を捨て去ることができず、仏像に光背を加えたとされる。
7世紀にイスラム教が浸透して以降、ゾロアスター教は衰退していったが、古代ペルシャの流れを引き継いでいるのが現代のイランだ。イランの人たちとの会話経験は少ないが、古代ペルシャの誇りを今も持ち続けている。真偽はさておき、「中国の歴史は4000年。イランは5000年だ」との言葉もよく聞かされたものだ。
かつては日本の繊維輸出、特にアクリル短繊維などはイラン向けが大きい時期もあった。「商売はシビア。でも何よりも親日国ですから、可能性は大きい」と輸出拡大に意欲的だった商社マンの姿を思い出す。今はビジネスを広げるとはいかないだろうが、いつの日か争いは終わる。海外事業担当者がイランという国を普通に話題にする日を信じたい。
