「最初から正解や安定を求める人が増えました」。大手ファッション小売業の人事担当者に、新卒の採用活動の中で学生の印象を尋ねた時の返答だ。
記者は、ファッションビジネス業界を目指す学生に取材する機会があるほうだ。最近の学生は質問に対してお手本のような回答をするが、個性というものが乏しい気がしていた。今後の目標を聞くと、明確な答えが返ってこないことも。冒頭の感想を聞き「なるほど」とうなずいた。
若者の変化と言えば、コスパならぬタイパ(タイムパフォーマンス)を重視する人が増えたのもその一つだろう。「かけた時間に対してどれだけの効果や満足が得られるか」を表す言葉だ。映画を早送りするだけでなく、結末や感想、評価を確かめてから、映画や本を読む人もいるらしい。
果たしてそれで良いのだろうか。少し前だが、今も強く印象に残る学生向けの講演がある。小売業の元役員で、退職後も人材育成のために意欲的に活動した人物が「人は誰だって壁にぶつかる。それはピンチではなく、自分をさらに磨くチャンス。仲間とも協力し合い、壁を乗り越えた先に成長した自分がいる」と話した。
素早く正解を出せるのか、あれこれと悩むよりも、まず行動してみることが大切。そこから生まれる体験や出会いの積み重ねこそ、大きな経験値になると思う。
