《私のビジネス日記帳》サステイナブルな館を目指して 橋本修男

2024/06/19 06:26 更新


 コロナ禍もあって社会や環境への関心が高まり、こうしたテーマを扱ったイベントも増えました。これからの消費の主役になるZ世代の関心も高いとされ、SCとしても気になるテーマです。当社内の調査では、20~30代層の環境に配慮した商品の関心は高いものの、実際にこれらの商品を購買するのは50~60代が多いという結果でした。経済的余裕が少ない若者に比べ、シニア層は「次の世代のために」と考えて行動するようです。

 テナントと共同運営するSCにとって、衣料品製造の環境負荷や食品ロスの問題は他人事ではありません。ファッションに強い駅ビルとして、メッセージ性の高いテーマを、一歩先いく高感度なライフスタイルとして発信することで、若者の共感を得て、行動へと促したいところです。当社でも志ある社員が不用な衣料品の回収・循環の仕組み作りの勉強を始めました。

 施設運営そのものに配慮が求められる場面も増えています。効率的な荷さばきは、配送の人手不足や周辺渋滞の解消に。使用期限が長く廃材も出にくい施設メンテナンスの技術は、環境負荷の低減に。広場を防災に生かせば、地域の安心安全につながります。

 顧客に加え、地域社会からも高い共感が得られれば、SCに関わる全ての従業員の働きがいも高まります。経済的な価値と社会的な価値の交わるSCビジネスに、従業員の思いも重ねることで、真にサステイナブルな館に近づけたいと考えています。

(JR西日本SC開発社長)

「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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