《私のビジネス日記帳》チャンスは気づきから 柴田茂樹

2023/12/13 06:25 更新


 当社の祖業は船舶用品卸です。しかし70年代ごろから造船不況と捕鯨禁止などの影響を受けて苦境に立たされます。81年に入社した私は、2代目の父と事業転換を模索していきました。

 家族でキャンプに行ったのはそんなときです。私は仕事人間で、家では家族サービスもしないダメ親父。ところが私がテントの設営や火おこしを難なくすると、息子たちが羨望(せんぼう)のまなざしを向けてきたのです。当時の日本は、働き過ぎが問題になっていた時代。「これから余暇やレジャーが注目される。『親父の復権』につながるキャンプは伸びるのでは…」。そんな予感を抱きました。

 そこで付き合いのある海外の工場を通じてメーカーを紹介してもらい、テントを開発。当時の平均価格3万円を下回る製品を製造・販売するようになったのです。しばらくすると、プラザ合意によって円高が進み、1万9800円の値付けが実現。飛ぶように売れ始め、きちんと利益も確保できました。以降、当社はアウトドア事業にシフトしていったのです。

 「チャンスは近くにある」とよく言われます。しかし実際は、それを目の前にしてもチャンスかどうかさえ分からないことが多い。日々悩み、常に課題意識を持っているからこそ、その可能性に気づくことができるのです。「ん? ひょっとして…」と試しに取り組んでみて、うまく行けばそれが宝物だったとのちに知るのです。

(ロゴスコーポレーション社長)

「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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