良品計画は新型コロナウイルスの感染拡大による「緊急事態宣言」を受けて、「無印良品」の国内223店舗を休業した。海外でも25カ国で全店が休業している。一方、感染拡大が落ち着きつつある中国本土では、8日から全店の営業を再開したが「まだ外出が少なく、戻りは弱い。8月ぐらいからは通常に戻るのではないか」(松﨑暁社長)との見通しを示した。同社は9日に2月期業績を公表したが、こうした状況から今期の業績見通しの公表は延期した。
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223店舗の休業は、8日に発令された緊急事態宣言の対象である1都6府県の店舗が大半で、同地域では99%が休業もしくは営業時間短縮に入っている。「関東地方が国内売り上げの半分を占めている」ため、影響は大きい。これまでは無借金経営を続けてきたが、国内外の休業による雇用確保や資金繰りを目的に「政府系金融機関などに今後2年間の借入枠を設定してもらう」という。
感染終息後の消費回復の見通しについても「すでに(衣料品などは)たくさん持っているし、しばらくは買わなくてもいいと思うのでは」と弱含みを予想する。ただし、同社はここ数年、靴下や肌着など生活必需品的な基幹商品を強化しており、買い替え需要では「まず最初に想起してもらえるブランド」を目指してきた。そのため、消費低迷の影響は少ないと予想するとともに「次のシーズンまで販売を継続できる」と、在庫過多からの脱却にも自信を見せる。
一方、中国では今年1~3月の第1四半期の売り上げが、既存店52%減、ECを含めても45%減にとどまっている。特に、ECは19年に50%近く売り上げを伸ばしたことから「20年はさらに伸びる」と見ている。ただ、8月からの本格回復の根拠を問われると「確信はなく、希望的観測」と言葉を濁した。