イタリア・ミラノで7月に開かれた国際生地見本市ミラノウニカ(MU)。出展は700社(23年7月展比18%増)、来場は5541社(19%増)とともに大きく伸び、にぎわいを見せた。今回から先頭に立ち指揮を執るシモーネ・カンクリーニMU会長は、更なる発展・拡大に向け意欲を見せている。
(三冨裕騎)
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――MUの方針は。
クオリティーとサステイナビリティーを追求し、イタリアを中心にした欧州のテキスタイルを訴求するという、従来の方針の継続が第一です。将来的にはサーキュラーエコノミーにも力を入れていきたいですね。加えて、ミラノへ来場するクオリティーの高いバイヤーを増やしたい。世界中の人に、高い品質のテキスタイルを探そうと思ったときにまずミラノだと、そう思われるような存在になっていきたいです。
――レディス向けテキスタイルも強化してきた。
レディスの方はここ数年強化しており、出展社数で言えばメンズと同じくらいの規模になりました。一定の目標を達成したのではないかと思います。
今後はスポーツウェア向けなども強化していきたいですし、今回は水着向けテキスタイルを集積した「マーレ・ディ・モーダ」を初めて設置しました。イノベーション素材の集積も大きくなってきました。MUとしては、様々な分野のテキスタイルの一番いいところが出ている展示会を目指しています。
――今後取り組むことは。
ミラノに軸足を置きつつ、MUの出張版のようなやや小規模の見本市を計画してもいいのではないかと思っています。既に中国のインターテキスタイル上海でMU上海を開催していますし、今後は例えばアメリカですとか、なるべくお客さんの近くに我々が出向いて提案していきたいです。
――イタリアのテキスタイル業界の状況は。
コロナ禍が落ち着き一気に需要が出た22年に顧客が生地を買い過ぎてしまった。今年は決して輝かしい一年ではなく昨年よりも落ち込んでいますが、最近ようやく顧客の持つ生地在庫が無くなり始め、下期は良くなっていくでしょう。各社はリサーチや開発に力を入れており、再び動き出したときに一気に業績を伸ばせるように準備を整えているはずです。
――日本パビリオンは10周年を迎えた。
MU内に日本パビリオンがあるのは本当に喜ばしいですね。日本の素晴らしいテキスタイルが展示会に一緒に出ているのは歓迎すべきことであり、私たちにとって助けになっています。
クオリティーとサステイナビリティーは無くてはならないもの。それを実現している日本とイタリアのテキスタイル産業の間には親近感のようなものを感じています。引き続き日本からの参加を楽しみにしています。
(写真=マルコ・ベルトリ)