MDが使う「算数」をショップ運営に役立てよう!《第3講》⑳(佐藤正臣)

2023/07/26 06:00 更新


(第2項)目標設定・管理の重要性

5.売上の公式とは?⑤

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前回までの講義では、売上=(買上)客数×客単価に分解でき、客数か客単価をアップさせれば売上もアップすることを目標設定・管理に活用しよう!ということで、(買上)客数をアップさせるための、掲げるべき目標をみんなで考えました。



今回は客単価についてですね!



はい、今回は客単価をアップさせる方法をみんなで考えてみましょう。

まずは客単価の計算式を復習しますと、客単価=1点単価×SET率となります。この公式から考えると、1点単価かSET率をアップさせれば、客単価もアップする!ということになりますね。



1点単価とは、どういうことでしょうか?



1点単価の計算式は、1点単価=売上金額÷売上点数となります。1点単価はマーチャンダイザーにとってもショップにとっても重要な指標となりますので、また次回お話しします。



承知しました!



ということで、SET率のお話させていただきます。SET率の計算式は、SET率=売上点数÷(買上)客数となります。以下、例をお伝えします。

あるショップAの1日あたりの(買上)客数が10、売上点数が20。ショップBの客数が15、売上点数が20。という2つのショップがあったとします。

ショップAのSET率は、
20(売上点数)÷10(客数)=2.00(SET率)

ショップBのSET率は、
20(売上点数)÷15(客数)=1.33(SET率)

では、Tさんに質問です。ショップAとショップBのうち、どちらのショップの方がお客様1人あたりのまとめ買いが多いと思いますか?



ショップAです。ショップAは、お客様1人あたり、商品を2点購入していますよね?



はい、その通りです!ショップAのお客様の多くは、複数点商品を購入していると捉えることが出来ます。ショップBは、お客様1人あたり約1.3点購入ということになりますから、お客様の大半は商品を1点だけ購入していると捉えられますね。



要するにSET率は、お客様1人あたりどのくらいまとめ買いしているのか?を表す指標ということですね。SET率が高ければ高いほど、お客様がまとめ買いをしている率が高い。よって客単価がアップする!ということですよね。



その通りです。SET率は、お客様のまとめ買いを表す指標です。ということで、SET率を上げるためにショップでできる業務は何でしょうか?



はい、接客の精度を上げることです。



その通りです。接客スキルでお客様に複数点商品を購入していただければ、当然SET率は向上しますね。前回の買上率を上げるための業務でも接客の重要性をお話ししました。

その他はどうですか?



はい!マネキンのディスプレイごと購入いただけるように、VMDを頑張ることです!



素晴らしい!その通りです。更に言いますと、ショップスタッフが着用しているコーディネートを、そのまま購入していただけるのも同じ効果がありますね。



私の経験でしかないですが、マネキンよりもスタッフ着用の方が、効果が高かったように思います。実際、お客様の身近な存在であるということも大きいのでしょうね。



流石Dさんです。SET率を上げる目標設定には、VMDだけでなく、スタッフ着用コーディネート等も設定すると良いかもしれませんね^_^

その他はありますか?



せんせ、あとはセールをすればSET率が上がる可能性が高いですね。むしろ、セールを実施してSET率が上がらないと、そのショップ・ブランドは大きい問題を抱えていると言えます。



流石Dさんです。もう私、Dさんに頭があがりません…。

セールをするとSET率が上がるというイメージは、セールの初日に、店頭にショッピングバッグ等を用意しているショップが多いことからも伺えるはずです。



せんせ、一つ質問があります。弊社ではDさんが拒否して行わないのですが、「2バイ10%オフ」の施策を実施したときにもSET率が上がらなければ、その組織は終わっている!という解釈でも良いということですね。



言い方が…。私はマーチャンダイザーの皆様方に、安易に「2バイ10%オフ」の施策を行うことは、必要以上の粗利を失う恐れがあり、余程の在庫が残っていない限りは、実施すべきではない!と、良く言っているのですが、Tさんが仰る通り、「2バイ10%オフ」の施策を実施して、SET率が上がらないとなると、その組織のかなり良くない状態とみて間違いありません。

セール等の割引・値引き施策を実施する場合に、SET率に着眼することは、店長にとっても本部の方々にとっても重要なことだと言えます。



承知しました。( ..)φメモメモ



最後に、MDアドバイザーである私からSET率を上げる方法を述べさせていただきます。ここ最近のトレンドとして、セットアップ商品が増加しています。セットアップ商品がヒット商品となれば、SET率が上がる可能性が高まりますね。

SET率をアップさせるショップの業務は、他にもあると存じますので、読者の皆様も他にどのようなことを目標に掲げると、SET率アップに繋がるかを考えてみてください。

ということで、今回の講義は終了です。次回は、客単価=1点単価×SET率の1点単価についてお話していきます。



では、皆さん。次回もお楽しみに(@^^)/~~~

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佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp



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