テキスタイルの付加価値を決定する大きな存在は糸。その糸に特別な価値を付けるのが意匠撚糸。異なる素材品種の糸を組み合わせて多様な形状を作り上げる。その意匠撚糸でものづくりと販売の中心にいる近藤(愛知県一宮市)は、顧客にタイムリーで付加価値を高めた意匠撚糸を提供している。
性格の違う品種の糸を組み合わせるだけに、安定した品質を維持するのが大変だ。ひとつは生地が斜めになる「斜行」になりやすい点。また顧客が求める企画、オリジナルな企画作りには協力工場が効率的で安定した糸作りができるようにする確認が必要だ。そこで同社は本社内に、撚糸と編地の2部門で試作工場を置いている。
編地の必要性
糸を開発するために撚糸だけでなく編み立てまでの試作工場を有しているのは、顧客に提案するマップの資料、そして具体的に糸を販売するカラーブックが、編地を基本に構成しているからだ。
顧客は糸を選ぶ際に物性や風合いが最適な糸を求めるが、このための判断材料として編地で確認したいため、編地をセットした色糸ブックが必要とされる。