レディスウェア「ミカゲシン」(進美影)は9月下旬、東京・表参道に直営店「ミカゲシン青山本店」をオープンする。19年にニューヨークでブランドを立ち上げ、20年に東京に拠点を移し、ジェンダーレスコレクションを強みとして成長してきた。ブランドの世界を表現した空間を作り、発信力を高めていく。
表参道駅から徒歩3分ほどの立地で、3層ビルの路面店となる。2階は事務所で、地下と1階が売り場になる。内装は、進と同世代でSANAA出身の建築家、小田切駿が担当した。地下はモルタルで塗装したシンプルな空間。1階は長さ40メートルのワイヤを巡らせたハンガーラックで「洋服が宙を浮遊するように」見せる。
日本でのビジネスは21年春夏から開始。大胆な切り替えのテーラードジャケットなどメンズライクなスタイルに、日本の産地で作る繊細なテキスタイルを融合し、ジェンダーを問わないコレクションを制作してきた。その結果、「装飾的な素材が目を引いて、男性のファンが増えた。自社ECの70%は男性の購入」と進は話す。卸売りの取引先はメンズとレディスとで半々。海外は香港と上海のIT、ファッションECザラウンドゥに卸売りし、売り上げ比率は20%という。
プレオープンした直営店で8月2日、24年春夏のプレゼンテーションを行った。インスピレーション源は50~60年代にロンドンで流行したテディボーイの美学。「当時、労働者階級の若者たちが、上質なジャケットを着て反骨精神を示したように、しゃれこむことに動じないで、色気のある着こなしを楽しんでもらいたい」と進。レース生地を切り替えた透かし編みのニットに、ステッチ装飾の入ったフレアパンツを合わせるなど、ジェンダーフルイドなムードを濃くしている。男性サイズの要望が増えていることから、24年春夏以降は70%をメンズのパターンで構成し、「女性にはメンズの服を着る感覚で、とことん格好良く着てもらえたら」という。