《めてみみ》ブック&チャットって何?

2026/08/27 06:24 更新NEW!


 「ブック&チャット」というコミュニケーションプログラムをご存じだろうか。本を媒介に人との交流を深めていくもので、京都の祇園にある老舗履物匠の祇園ない藤の展示会で初めて体験した。

 参加者は8人。多彩なジャンルの本が並ぶ空間で、「タイトルを見て直感で一冊選び、選んだ理由を教えてください」と指示された。多少困惑しながら30秒ほどで選び、すぐにスピーチが始まった。

 手探りだったものの、話し始めるとあら不思議。全員が、本を切り口に自分の話をし始めた。興味関心はもちろん、悩みや喜び、問題意識、日々のこと。道具の本を選んだ私は、「実は昨日、おけを買いまして、なぜならば……」といった具合。気付けば全員が能弁に語っていた。

 それは、人に伝えるほどではないささいなことだが、その人にとっては大切なことばかり。心の内を自然に打ち明けたことで、その場は古くからの仲間の集いのようなムードになった。

 5代目店主の内藤誠治さんは近年、日本古来の履物文化を継承するための取り組みをしている。この企画もその一つ。顧客商売だった以前に比べて一回きりの観光客の購入も増えるなか、大切な一足をあつらえるため、その人となりを自然に知るためのプログラムが生まれたという。数時間でつながりが深まる体験。様々な課題を解決する可能性を秘めている。



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