「大黒柱に車をつけよ」。この言葉は、イオングループの源流である岡田屋の家訓として知られる。時代や経営環境の変化に機敏に対応しながら、事業や企業の形を大きく変革していく構えを説いたものだ。名経営者と呼ばれた経済人の中にも、この言葉を愛用してきた人が多い。
社会が劇的に変わろうとしている今、改めてこの言葉の重みが増してきた。成長分野に乗り遅れれば、あっという間に時代に取り残され、企業が衰退していく。株式市場の評価も、変化に対応しているか否かが問われる。過去最高に近い収益を挙げている名門・大手であっても、将来に向けた成長が感じられなければ市場の評価は冷たい。
政府が掲げる成長戦略17分野は、ひとまずの方向性を示す指標の一つなのだろう。AI(人工知能)・半導体、先端医療、コンテンツなどは、すでに時代のキーワードとしてよく耳にする。繊維・ファッション企業が直接こうした分野に進出することは少ないだろうが、先端材料やIP(知的財産)ビジネスなども含め、決して無関係ではないはずだ。
岡田屋の家訓は、時代を経ても色あせていない。自社の大黒柱は何かを見つめ直し、そこにどんな車を付けてどの方向に引っ張っていくのか。全てのステークホルダーの期待に応えるためにも、社会の変化が自社に何をもたらすかを凝視しておきたい。
