《めてみみ》クリエイションの背景

2026/07/30 06:24 更新NEW!


 京都を拠点にするデザイナーブランド「レインメーカー」が、初めて地元で26~27年秋冬物のショーをした。京都の伝統工芸を活用したほか、袴から着想したパンツなど和装のディテールを洋服にうまく落とし込んだ。興味深かったのはデザイナーが『陰翳礼賛(いんえいらいさん)』を強く意識したと話したことだ。

 陰翳礼賛とは谷崎潤一郎の長編随筆で、日本独自の美意識に触れたもの。強い光で隅々まで照らす西洋型の美に対し、陰や薄暗さにこそ美がある、影があるからこそ光が引き立って想像力をかきたてると説いた。同ブランドはそれを踏まえ、光を吸収する素材、逆に光を反射する素材を使い分け、奥深い表現を狙った。

 先日、大阪の服飾専門学校と、海外のクリエイションに詳しい大手セレクトショップ上級顧問のてい談を実施、日本の若手のクリエイションにも話題が及んだ。「日本は器用できれいに物が作れてしまうので、そのままでいってしまう傾向がある」と振り返っていたのが印象深かった。

 品質をはじめ、精緻(せいち)な物作りは日本が誇る強み。だが、コンセプトをはじめとした味付けやブランディングをしっかりと練ることも大切だ。陰翳礼賛だけでなく、不完全の美、余白など、先人が説いた〝日本ならでは〟の美意識から着想し、服作りと重ね合わせるのも一つのアイデアになる。



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