《めてみみ》親日国ポーランド

2025/10/08 06:24 更新NEW!


 ポーランドの古都、クラクフの旧市街広場に立つ織物会館。長さ100メートルを超えるゴシック様式の建物で、起源は13世紀にさかのぼる。その名の通り、織物や衣料の東西交易の拠点として栄えた。今は、雑貨や土産物店が並ぶマーケットとなっているが、回廊やレリーフなど随所に往時の繁栄がしのばれる。

 産業革命後もポーランドの繊維産業は大きく発展した。国の中央部に位置するウッチ県などは、「ポーランドのマンチェスター」とも呼ばれ、繊維の街として興隆した。その後、2度の世界大戦の影響、何よりも東西冷戦終了後の産業構造の変化の中で繊維産業は衰退していく。

 上質な羽毛やリネンなどの素材で名が挙がるくらいで、日本との繊維貿易も今は限定的。ただ、ユニクロが24年に首都ワルシャワに進出、この9月には大阪・関西万博が縁を結び、ウッチと大阪市の間で、経済分野における交流促進を目的とした合意が結ばれた。

 欧州のなかでもポーランドは親日国として知られる。様々な歴史的経緯に加え、建国の父と言われるユゼフ・ピウスツキの子孫、木村和保氏は日本で生涯を送った。磯崎新氏が設計、日本政府も出資した欧州屈指の日本美術・工芸品を持つ美術館もクラクフにある。将来は、繊維・ファッション業界のビジネスの面で、もっと近い国になっているかもしれない。



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