ネット証券の利用者が急速に増えている。口座数はSBI証券が1200万、楽天証券が1000万を超えた。年間投資枠の拡大などを柱とする新しいNISAが、年初から施行された効果は大きいようだ。ある証券会社では、今年1~3月の口座開設数は前年同期比約3倍で推移する。
これまで投資と縁の薄かった若い人の関心も高まってきた。確かに今の超低金利下では、預金をしても利息はすずめの涙ほど。数%となる配当は魅力だ。それ以上に将来に対する不安が大きいのだろう。企業内でもNISAに関する講習会を開くところが出てきた。
口座を作った後に悩むのが、ファンドなど専門家に任せた運用か、自分で個別銘柄を選んで投資するかという選択だ。後者を選ぶなら、相応の勉強と覚悟が必要。昨今の株式市場の乱高下は、プロの投資家でさえ頭を悩ます。個々の企業の事業や財務内容、成長性などを精査するのは容易ではない。
そうした中、「あの会社の商品が好きだから」という理由で銘柄を選ぶ人たちもいる。単に目先の売買益を追うのでは無く、企業姿勢や経営理念への共感、商品そのものへの愛着など、企業を応援する気持ちで長く株を保有する株主たち。繊維・ファッション業界がこうした人たちを増やし、その期待に応えていけるか。ポイントの一つだ。