世界遺産に登録された富岡製糸場に象徴されるように、群馬県は歴史的に繊維産業が盛んだ。郷土かるた「上毛かるた」には、「繭と生糸は日本一」「桐生は日本の機どころ」など、繊維に関する札がいくつもある。
「かかあ天下と空っ風」。上毛かるたにはないが、群馬県を表すフレーズとしてよく知られる。夫を尻に敷く強い妻をイメージさせる「かかあ天下」は、「うちのかかあは天下一」、つまり、働き者で稼ぎの良い女性を指すのが本来の意味という説も。
繊維産業は歴史的に、女性の就業比率が高い。シルク産業であれば、養蚕や製糸、機織りなど、各工程で女性が労働者として活躍してきた。
経済産業省の「繊維産業のサステナビリティに関する検討会・ジェンダー平等」によると、20年の全業種における就業者の女性割合が44.5%に対し、繊維工業は58.5%、織物・衣服・身の回り品小売業は72.6%と高い。ただし、役員比率となると女性比率は低く、東証一部上場企業全体では6.0%に対し、繊維関連企業は4.3%にとどまるのは残念。
3月8日の「国際女性デー」と関連し、米国や英国では3月を女性の功績をたたえる「女性史月間」としている。繊維・ファッション産業はその歴史から見ても、天下一、女性が活躍できる産業を目指せる素地がある。