《めてみみ》自分の目で

2023/01/26 06:24 更新


 伊藤忠商事は4月、岡藤正広会長CEO(最高経営責任者)の直轄組織として「グループCEOオフィス」を新設する。カンパニープレジデントに加え、会長がこれまで以上に直接的にグループ会社を指導、統括するための同社初のバーチャル組織だ。

 岡藤会長は頭を悩ませていた。本体の各カンパニーとそこにひもづく事業会社との連携がうまく進まないケースがあったためだ。「単体で活躍した大物が事業会社のトップになっている。カンパニープレジデントの方が若いケースもあり、遠慮してコミュニケーション不足に陥っていた」。それを打開する一手だ。同オフィスが経営人材の育成やグループ経営者の選定、審査も行う。

 この話を聞いたある繊維商社のトップは、「本体と事業会社との関係では、我が社も同じようなことがある」とつぶやいた。

 岡藤氏のすごいところはあれだけ大きな組織、グループになったにもかかわらず、カンパニー単位にとどまらず、有力事業会社の状況も細かくつかんでいる点。その一社一社の利益の積み上げがこの間の純利益の大きな伸びを生みだした。「リポートだけを読んどったらあかん。自分の目で確かめるんや」。

 岡藤会長の会見前、ホテルのショッピングエリアに会長の姿があった。「ミラ・ショーン」の店舗で販売員の話に耳を傾けていた。



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