この時期の欧州の各都市を移動していくと、東京との日照時間の違いが感じられる。フランクフルトだと夕方4時には真っ暗。朝は8時過ぎにならないと明るくならない。考えてみるとロンドンはもとより、パリもミラノも緯度は東京よりも北だ。ニューヨークと青森がほぼ同じと知ると、冬のニューヨーク・ファッションウィークの厳しさもうなずける。
そんな地理から季節に思いを巡らすと、昨今の東京の夏の厳しい暑さは当然のような気がする。G7(主要7カ国)の首都は、全て東京よりも北にある。地球温暖化が叫ばれるなか、欧州はこの年末年始に記録的な暖冬となった。スペイン南部では海水浴ができる一方、アルプスのスキー場では雪不足と報道されている。
ピッティ・イマージネ・ウオモ展が開かれているフィレンツェの街でファーの専門店を見つけた。聞けばずいぶん昔からの店で、様々なアイテムを売っている。暖冬のせいか、街中でファーコートを着ている女性は見かけなかったが、北イタリアではまだファーコートは生き残っている。
動物愛護の観点からファーを敬遠する傾向は確かに高まっている。ただ、それに代替する石油由来のフェイクファーもまた、環境への負荷が指摘される。人類は何を選ぶべきなのか。答えはそんなに単純ではない。