《めてみみ》カギは納期の短縮

2022/12/27 06:24 更新


 コロナ禍で多大な影響を受けた紳士スーツ市場だが、今年は出社比率が高まるなど売り上げは回復基調にある。それでも、「従来型のテーラードスーツがコロナ禍以前の市場規模にまで戻ることはない」というのが大手紳士服専門店の見方だ。

 落ち込みが予想されるスーツ、特に既製服を補完するのがオーダーメイドだろう。一般消費者も着用回数が減るなか、「どうせ買うなら良い物を」という志向がますます強まっている。そのため、〝オーダー初心者〟を取り込んだオーダースーツ専門店は売り上げが順調に推移している。

 これまで既製服の牙城だった成人式や入学式、就職活動などのオケージョン需要をオーダースーツ専門店が奪うためには、納期短縮が大きなカギとなる。コロナ禍で海外工場がロックダウン(都市封鎖)した影響で納期に遅れたところもある。逆に、以前から国内自社工場のデジタル化を進めてきた専門店では7日間納期で攻勢をかけている。

 通常のオーダースーツなら納期に1カ月以上かかる店が多いが、7日間納期なら客が求めるギリギリまで対応できるようになり、既製服とも十分勝負が可能という。既製とオーダーがボーダーレス化し、消費者の選択肢が広がることによって、若い世代も含めてスーツ自体の魅力を見直してくれる人が増えることを期待したい。



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