《めてみみ》公式リユース

2022/12/09 06:24 更新


 阿修羅像のようなオブジェの実物作品と、それを3D・CG化したNFT(非代替性トークン)アートの並列展示を見た。「実物が80万円とすれば、NFTアートは8万円で10点、その簡略版NFTを8000円で100点販売する」。そんな筋書きという。

 一つの作品で、3倍に売り上げを増やせるわけだ。映像を作るコストはかかるが、作品自体の生産コストは変わらないから完売すれば十分もうかるはず。作品が良ければ値上がりも期待でき、商品数が限定されているから作品価値の大きな棄損はないだろう。

 ファッション業界は、これまで新品を販売するだけの企業・ブランドが主流だった。SDGs(持続可能な開発目標)により、「回収」「再資源化」といったサーキュラーエコノミー(循環経済)を目指す機運が広がってきた。顧客の不用な自社製品を回収、買い取り、国内の自社工場で修理などして専用サイトで販売するバッグの再生事業に取り組んでいる企業もある。

 最近、「ブランド公式リユース」を立ち上げる動きがあると聞いた。調達や真贋(しんがん)鑑定、修理など手間がかかるし、消耗品でもあるから、もうけはアート作品とは違うかもしれない。ブランド価値があってこそ成り立つ公式リユース開設により、安易に値下げをしない作り方・売り方に変わっていく可能性が高まる。



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