《めてみみ》うどん県の努力

2022/10/26 06:24 更新


 香川県は、自他共に許す「うどん県」。街中の様々なうどん屋でこだわりの一品が楽しめる。一時は全国の認知度調査で最下位だったこともあり、一念発起。10年余り前、県としてうどん県を宣言、各店の企業努力も相まって知名度を高めた。成功例は意外に少なく、他は「おんせん県おおいた」ぐらいだろうか。

 うどんのほか、アートでも存在感を示す。岡山県にまたがって開催される瀬戸内国際芸術祭は今や世界的なイベントだ。直島のシンボル的な存在だった草間彌生の「南瓜」は、昨年の台風で破損したが、今秋の会期に合わせた修復を終え、再び観光スポットとして注目されている。

 大掛かりなイベントだけではない。坂出市の小さな観光スポット、弥蘇場(やそば)地蔵堂の展示もその一つ。地元出身の作家であり、地蔵堂を管理する有志の1人がキリンの立体造形をお堂に奉納。キリンたちがお堂の中で座ったり寝ころんだりしながら、お地蔵様を拝んでいるというユニークな光景だ。

 テレワークが定着し、生き方・働き方に対する価値観の変化も進む。自分たちが住み働く地元への思いも強まり、全国各地で地域活性化への取り組みが加速してきた。行政と一緒になった大掛かりなイベントも大事だが、結局は、個々の人々の小さな努力の積み重ねが街に人を呼び込むのだろう。



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