西武池袋本店は9月7日、現代アートを展示・販売する「アート・カプセル」を2階に新設した。従来の上層階の美術画廊は巨匠の大作を扱ってきたが、それとは異なり若年層を対象に現代アートの需要を掘り起こす。20代社員が運営し、婦人雑貨フロアに開設することで、現代アート市場のすそ野を広げる。
同店の美術売り上げはここ10年で2倍に拡大し、21年度は過去最高だった。特に拡大しているのは現代アートで、21年度は前年比3倍の伸びだった。「コロナ禍を契機に顧客の興味、買い方が変化し、家ナカ時間の拡大で、生活に彩りを与えるアートへの関心が高まっている」という。
同店のある豊島区は15年に「国際アート・カルチャー都市構想」を策定した。これまでの芸術文化の枠組みを超えて、伝統から最先端まで、衣食住に関わる生活文化からハードな都市づくりまでを含めた将来の都市像の考え方だ。街を構成する様々な人々の参加と協働によるアート・カルチャーの街づくりを推進する。
拠点の一つが同店で、今回の現代アートもその一環。もっとも、アート・カルチャーは難易度が高い事業だが、にぎわいを創出し、地域経済を底上げするコンテンツになる。若手作家の作品を通じて池袋から全国へ、全国から池袋へ発信する場作りを同店が担うのが目標だ。