そごう・西武が21年9月に開設したOMO(オンラインとオフラインの融合)ストア「チューズベース・シブヤ」は、百貨店離れしていた若年層の集客に成功している。サステイナビリティー(持続可能性)や、エシカル(倫理的な)視点での品揃えが新しいニーズに応えた。
SNSの撮影場所として渋谷の新しい「名所」にもなった。昨年12月にマイナーリニューアルして新たに9ブランドを導入し、出店者は「若年層の来店で認知度が向上した」と話す。新コンテンツの検証やAI(人工知能)カメラによる購買行動といった様々なデータを需要予測などに生かす。
DtoC(メーカー直販)ブランドの販売だけでなく、「様々な気づきを通して次のビジネスモデルを考える実験場になる」(林拓二そごう・西武社長)という。百貨店の既存取引先との関係性の再構築に活用する。百貨店の消化仕入れやSCの定借は、取引先の人(販売員)、商品(在庫)の負担が大きかった。
店頭での販売員が要らず、賃料型でない小スペースでの出品料、川上への情報提供など新しい取引条件を作るきっかけにする。顧客とのエンゲージメントを通し、サービスとしての小売業を目指したRaaS(リテール・アズ・ア・サービス)モデルの挑戦で、百貨店の枠にとらわれない新しい小売業の在り方を探る。