《めてみみ》自分事の視点

2022/01/20 06:24 更新


 繊維・ファッション産業が環境への負荷が高いと問題視されるなか、環境に配慮した素材開発や対策が一気に進んできた。

 技術革新も目覚ましい。東レは、植物由来100%のナイロン繊維の量産技術を確立した。ニーズが高いスポーツ・アウトドア向けで幅広く提案する。産業技術総合研究所は、ポリエステルの新しいケミカルリサイクル技術を開発。低コスト化の可能性があると注目されている。

 商社のトップに取材するなかで、「持続可能な産業に生まれ変わるには何が必要か」と問いかけている。ヤギの八木隆夫社長の答えが印象的だった。社としての取り組みはしっかりと丁寧に進めながらも、「それだけでは足りない気がする」として私生活からの視点の重要性を指摘した。

 例えばサーフィンが趣味とする。そこから海をきれいにしたいという思いが生まれれば、それを実行しながら自らの仕事に何か結び付けられないか、と考えてみるアプローチの仕方だ。「多くの社員がプライベート視点で考えてみると、その人らしい様々な切り口が出てくるはず。自分事として取り組めるし、社員の多様性が企業、取り組みの多様性につながる」。会社や仕事からの発想ではなく、自分がやりたいからやる、それを意識して仕事につなげてみる。面白い視点だと思う。



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