東南アジアに自生する植物の実から採れるカポック繊維。この普及を目指すカポックジャパンは、繊維の持つ軽さや保温性を生かし、コートやジャケットなどを手掛けてきた。9月末にマクアケで展開した新商品の極薄インナーダウンは、2週間で1000万円近くを集めている。
カポックは、繊維の中空形状の特徴から、救命胴着やクッションの充填(じゅうてん)材などに使われてきたが、紡績が難しく、衣料への応用は少なかった。同社は素材メーカーと共に、これをシート状に加工する技術を確立し、コートなどの中わたに活用。期間限定店の出店や建築家との協業など、情報発信も積極的に取り組んできた。
クラウドファンディングも一般化し、商品に特徴があるだけではなく、何か心に響くポイントが無いと、支持を集めにくくなった。同社の事業には、経済産業省も注目し、スタート時は期間限定の「レンタル移籍制度」を活用し、新興国支援などに精通する人材を同社に派遣したほどだ。
こうした応援購入サービスやクラウドファンディングは、消費者が賛同してくれれば、数カ月や半年先まで、気長に待ってくれる。素材確保は必要だが、オーダーと同様、受注生産に近い。環境や地域への貢献だけでなく、業界の課題となっている過剰在庫問題の解消という面からも注目していきたい。