《めてみみ》健全な生態系

2021/04/16 06:24 更新


 3月後半から急速に新型コロナウイルス感染者数が再拡大している関西。まん延防止等重点措置が適用されたこともあり、都心部にある百貨店やファッションビルの入店客数が再び鈍化してきた。感染力が強いとされる「変異株」が関西以外でも広がっており、重点措置の適用地域は増える様相だ。

 3月は、百貨店、ファッションビルともにおよそ1年ぶりに前年実績を上回った。コロナ禍前の19年比の消費額には遠く及ばないものの、アウターやブラウス、ニットなどの春物の売れ行きは良かったという。スーツやワンピースなど新生活需要や入卒園のオケージョン需要も回復基調にあったのだが。

 かつての日常に近いアフターコロナを待ち望んでいるが、「新常態」と言われるウィズコロナの生活が続く。家ナカや家チカ消費のさらなる浸透を見込んだ商品の開発・提案が増えそうだ。ただし、忘れてはいけないのはサステイナビリティー(持続可能性)の重視と、生活者の価値感の多様化だ。

 「スモールマス」「自己実現と自己充足のマッチング」「ロールモデルが見つけにくい」。この間、取材で聞いた言葉にも多様化が確実に進むのがうかがえる。生活者の嗜好を深掘りしながら、「健全な生態系」を持続可能にするためのビジネスエコシステムの確立が、コロナ下も進むことを願う。



この記事に関連する記事