《めてみみ》雨ニモマケズ

2021/02/17 06:24 更新


 「雨にも負けず、風にも負けず、コロナの2波にも3波にも負けぬ丈夫な体を持ち…」。ある会社の社長が苦笑いしながら、即席の詩を紹介する。「東の得意先には頑張りましょうとLINEを打ち、西の仕入れ先には励ましのメールを送って…。うん、これでは少し字余りか」。

 もちろん宮沢賢治の『雨ニモマケズ』をもじったもの。できるだけ元の詩に合わせて韻を踏むように、ああでもない、こうでもないと作詩は続く。無論、ビジネスの状況は厳しいのだが、心のどこかに少し余裕がある。こんな人に出会うと、こちらも和む。

 賢治は、詩や童話で知られるだけでなく、宗教家や農本主義者など多様な顔を持った。37歳という若さで世を去り、一部の文学者を除いて生前はあまり評価されなかったらしい。生前の刊行物はわずか2冊で共に自費出版だったという。雨ニモマケズの一節も死後に手帳の中で発見されたもので、日記か詩なのかも判然としない。

 まだまだ気は抜けないものの、少しコロナも落ち着いてきた感か。今後、コロナ禍の前後で価値観がどう変わっていくかも注目される。意外に変わらないこともあれば、想像していなかったような劇的な変化も起こりうる。予断は禁物。多様な変化に対応できるよう、まずは何事にも負けない気力、体力を付けておかなくてはいけない。



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