ユニクロの「+J」が発売された日、銀座のユニクロ・トーキョーには長蛇の列ができた。並び始めた時間にもよるが、開店直後から特設売り場に入るまで3時間半かかった。行列に並ぶ客はスマートフォンを片手に時間をつぶしていた。
長い待ち時間にオンラインストアに何度もアクセスしようとしてできず、フリマアプリに目当ての商品がすでに出品されているのを見つけ、心が折れて列から抜ける客の姿も見られた。
しばらくしてオンラインストアを見ると、「生産量を多くしろ」「転売目的の購入を規制しろ」など、買えなかった客の苦情に交じって「転売ヤー」とおぼしき人の「今回も、もうけさせてもらった」という得意げで、あまり良い気持ちのしないコメントもあった。
よほど大きい利益を得ている場合を除けば、個人が買った服をすぐ転売することは、自分の「古着」を売ることになるため、非課税で法的な規制も難しい。一方、小売りも3月以降、訪日外国人がゼロになり、状況は厳しかった。
都内のセレクトショップでは今秋冬、買ったばかりの服を中国などアジアで売りさばく日本在住の転売ヤーに「ずいぶん買ってもらって助かった」とも聞いた。本当に欲しい人がちゃんと買えるような対策が必要な半面、今年に限れば転売ヤーが命綱になったことも業界の現実だ。