《めてみみ》彼らの言い分

2020/10/27 06:24 更新


 それほど規模の大きくない生産系企業で、取材後にノートを閉じて雑談を交わすと、最近よく聞かされることがある。「サステイナビリティー(持続可能性)に関わるとろくなことがない」。

 ユニクロは自社のダウン製品をリサイクルして再製品化する取り組みに着手した。H&Mは30年までに素材をリサイクルか、オーガニック由来の持続可能なものに100%切り替える。

 そうした報道を目にするたび、冒頭の言葉を繰り出す企業は「目の前の現実はそんなものではない」と感じるそうだ。OEM(相手先ブランドによる生産)ベンダーは、「無駄なモノを作らないために」期近や期中の生産に対応して納期の短縮を求められる。

 副資材を供給する企業は「売れ筋の適時供給を実現するため」に追加生産用に余分な時間と人手を手当てする必要がある。サステイナビリティーと言えば聞こえは良いが、リスクとコストを立場の弱い下請けに押し付ける構図は変わらない、というのが彼らの言い分だ。

 ファッション企業がこぞって取り組みだしたSDGs(持続可能な開発目標)には、持続可能な生産と消費のサイクルを確立する以外に、全ての人に持続可能な経済成長と働きがいを実現する、という目標もある。両立する動きが本格化するのには今少し時間がかかるということなのだろうか。

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