地下鉄や電車で、よほど乗客が多い時間帯や車両を除けば、隣接しないよう、間隔を空けてシートに座る人が増えた。次の駅で乗車した客もあえて間隔を空けた席には座らず、立って目的地まで移動する。
入手困難が続いているが、街を歩くと、マスクを付けている人の数がさらに増えたように感じる。仕事帰りの会社員でにぎわっていた飲食店は、昼時に総菜をテイクアウトで売る商売に切り替えた。
売り場の定点観測で毎月行く専門店は、軒並み3月の売上高が極端に落ち込んだ。訪日外国人もほとんど来ず、集客のための店頭イベントも全て取りやめた。不要不急の外出を控える動きが広がり、日を追うごとに日本人客の来店も減った。
リアル店の在庫はECに回し、店頭に立つ販売員は、自店の客に向けてインスタグラムに投稿する商品画像に、来店しなくてもECで購入できると必ず書き添える。リアル店限定の商品は店から直接、着払いで送るようにもしている。
それでもわざわざ来店し、なじみの販売員とマスク姿で会話し、商品を買って帰る顧客も減ってはいるが、ゼロではない。そうした客が訪れた時、その店の店長やスタッフは「心から感謝して」、そして適切な距離を取って接客するのだそうだ。誰かを責めても仕方がない。みんなできる限りのことをしている。