《めてみみ》自分らしさのために

2019/03/26 06:24 更新


 本日付で第11回(18年度)百貨店賞を掲載している。この1年で、新規顧客の獲得などで実績を上げた店舗を選んだ。モノ離れが加速する中、改めて百貨店の品揃え、サービス、環境の在り方が問われた。

 従来のブランド、カテゴリー別からライフスタイル型への転換が広がった。衣・食・住の縦割り組織やフロア構成を見直し、カテゴリーミックスの売り場が生まれた。単なる新規ブランドの導入でなく、新しい切り口の編集が特徴だ。

 切り口は近隣のOL、10~20代の女子、子育て中の母親などに広がりつつある。成功事例の共通項は衣料、雑貨、化粧品に加えて飲食コーナーを設置したこと。話題性による集客力はもちろん、編集ゾーン全体の休憩・コミュニティースペースとして活用され、にぎわいの拠点となった。

 逆に、一つのアイテムを徹底的に集積する売り場が注目された。入門編から上級編までの商品をグレード、価格、デザイン、サイズで、圧倒的に揃える。専門特化はコンサルティング販売による接客、サービスに生かす。

 切り口が明確ならば、モノだけでなく、コトの深掘りができる。消費者ニーズは「他人からどう見られるか」という価値基準でなく、自分らしさの表現や人生を豊かにするために消費する、多様化が加速している。現状の品揃えとのズレは少なくない。



この記事に関連する記事