19~20年秋冬デザイナーコレクションは、80年代イメージが浮上した。コートやジャケットの肩は大きく張り出し、ドレスやブラウスもラッフルやパッドを肩に乗せるなど、肩を強調したスタイルだ。
描かれる女性像も随分と強いイメージに変化している。前シーズンのテーラードスタイルの流れを受け、マスキュリンの要素を取り入れた重厚なコートやジャケットが出たほか、黒やグレーなどのダークトーンのドレスで強さを表現する。黒に花柄やグラフィックを加え、ロマンティックな雰囲気に仕上げる傾向も見られた。
強い女性像が広がる一方で、リラックス感のあるエレガンスもトレンドに戻ってきた。肩の力の抜けた飾らないムードととともに、どこか凛(りん)とした空気感もあるのがこのラインの特徴。チュニックなど、長めの着丈のトップがキーアイテムで縦長のシルエットを作る。
新たに登場したのは、パリの上流階級のライフスタイルを背景にしたシックなスタイル。BCBGと呼ばれる、フランス版プレッピーとも言えるスタイルだ。トラディショナルな英国調チェックのジャケットにボックスプリーツの膝下丈スカート、キュロットやボウブラウスなどコンサバティブなアイテムの組み合わせだ。
これらのトレンドの中で何が本命となるのか、市場の受け止めに注目したい。