「潮目は完全に変わった」。あるSCの営業責任者は今冬のセール結果を受け、嘆く。
今冬のセールは、SC、百貨店ともに全体として苦戦した。アウターを中心とした冬物衣料が特に振るわなかった。暖冬の影響で冬物が本格的に売れ出す時期が例年より遅れ、多くの施設でプレセールを実施した12月下旬に冬物が活発に売れた分、年明けの本セールの売り上げに響いた。
ECを含めたセールの早期化、セール期以外での値引き販売の増加によって「セール自体がお客に響かなくなった」ことが根本的な要因だ。「セール品に魅力がない」ことも大きな理由。今冬も「消費者が納得した商品であれば、セール期間中でもプロパーで売れた」という施設は多かった。
一方、春物は例年よりも早く売れ出した。百貨店では1月後半から春色のニットトップやワンピースなどが動き出した。ルミネエストではセール期間の1月3~8日の売り上げは前年を割ったが、9日以降は前年実績を上回った。各店で春物の投入を早めたことが実った。セール終了翌日に店頭の半分を春物に切り替え、成果を上げた店もある。
全館セールは商業施設にとって、売り上げが大きく、重要な集客イベントの一つ。しかし、消費者ニーズの変化に対応するためにはそのあり方を見直し、依存度を減らさなければならない。