米中貿易摩擦の影響が顕在化してきた。中国の昨年12月の貿易額は追加関税の影響で米国向けが減り、輸出入ともに減少した。90年から右肩上がりを続けていた新車販売台数も、28年ぶりに減少に転じ、消費の冷え込みを明らかにした。年初のアップルショックは、その象徴だ。
伊藤忠商事は18年4~9月期決算でCITIC株の評価を見直し、約1400億円の損失を計上したと昨年11月に発表した。この動きを読んでいた人がいる。八木通商の八木雄三社長だ。9月の段階で「中国経済が変調をきたし始めた。CITICに関して伊藤忠が動くのでは」と話していた。
八木社長に米中貿易摩擦について聞くと、「当然、様々な影響は出る。当社の中国から米国への生地輸出もダメージは受けるだろう」との答え。しかし、どこかうれしそうだ。「うれしくはないが、ワクワクはする。シャッフルされる時にチャンスが生まれる。頭を使って楽しめるかどうか」と続け、「ふふっ」と笑った。
確かに商社の年頭あいさつでも失速を懸念しながらも、中国を重点市場と位置付け、拡大を目指す発言が目立った。「変化はチャンス」。よく言われるがマイナス方向への変化には、どうしても二の足を踏みがちだ。そうした場面でもチャンスを見いだす人や企業だけが、一歩先んじることができるのだろう。