ルカ・オッセンドライバーがランバンを去る。先日、そんなニュースが飛び込んできた。ここ10年のメンズモードを見続けてきた人々にとって、それは一つの時代の終わりと感じるニュースだろう。ルカの手によって、ランバンのメンズがリブランディングを始めたのが06年。以来、パリ・メンズの中心に座り続けてきた。
「フレンチエレガンスをキーワードにして、それに到達しすぎないように。シンプルに、デザインしすぎないようにしました。プロポーションに集中して、どうシェイプを作るかを追求しました。ファッショナブルに見せすぎないこと。ファッショナブルなんてトライしようとさえしなかった」。ファーストコレクション後のインタビューでルカはそう語った。
そのコレクションのレビューの中で、メンズで初めてフルイド(風をはらんで揺れる)という表現を使った記憶がある。ルカのランバンの一つ前の時代の男性像を作ったのは、エディ・スリマン。90年代後半は、細くシャープで緊張感のあるスリマンのカットがメンズモードの主流であった。そこからルカの手によって柔らかく風になびくラインへと時代が移っていった。
次の時代を象徴する男性像はどういうものになるのだろうか。アンドロジナスなスタイルの広がりとともに、新たな時代の男性像への模索が始まった。