《めてみみ》満たされない思い

2018/10/15 06:24 更新


 「今はSNSだけでつながったつもりになり、実際は満たされない思いを抱える人が多く、自分の居場所としてリアルな体験ができる場を求め始めている」。そう話すのは、宇都宮市の郊外でアウトドアが切り口のセレクトショップ「ラマルシェメルヴェーユ」を運営する水上宗典代表。

 地方都市の個店にとってコミュニティー化によるファン作りはますます重要になり、顧客を巻き込んだ自然の中でのアクティビティー体験は大きな武器だ。グラスファイバー製の折り畳み式カヌーの販売も手掛ける水上代表は、10年以上の経験者で定期的にカヌーでの川旅を一緒に楽しむ。

 甲府市にアウトドアをテーマにしたショップ「サンデイ」を構えるトゥデイイズオーケイの石川幸之助代表も恵まれた自然環境を生かしたイベントを続ける。「不便な自然の中に身を置くことで、普段、文明の力に頼りきった生活を送っていては気づかない大切なことが発見できるのがアウトドアイベントのだいご味」と強調する。

 リアルな体験を共有することで、単なるモノの売り買いを超えた深い信頼関係が築ける。こうしたコミュニティー作りは自然が身近に感じられ、郊外立地のショップを拠点にできる地方都市の方に優位性がある。何よりも個店オーナーの人間的な魅力が新たな仲間を引き寄せる理由だろう。



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