19年春夏ロンドン・コレクションでファーにまつわる話題がまた一つ増えた。今回のオフィシャルスケジュールでショーをしたブランドは、全てリアルファーを使っていない。主催者は、ファッション・ウィークに先立つオープニングイベントで、今回のコレクションがファーフリーであることをコメントした。
毎回、ロンドン・コレクションでは、多数の動物愛護団体のメンバーが抗議活動を繰り広げる。かつては「バーバリー」や「メアリー・カトランズ」のショー会場を取り囲み、デモンストレーションを繰り返した。今回はそんなこともないのかと思いきや、やっぱりデモは行われた。「今回はファー不使用ですよ」という声に耳を貸そうともしない。もう論理が通用しない。
持続可能なファッションビジネスを探る時に、論理的思考は不可欠だ。ファーを使わない場合、代替素材に何を使うのか。石油由来のフェイクファーの環境への負荷も考えなければならない。今回のロンドンには、海洋プラスチック汚染の問題を意識して、その再生資源で服を作った若手デザイナーもいた。
本紙の連載「素材から始める持続可能なファッションビジネス」では、様々な素材がそれぞれ環境への負荷を削減しようとしている状況を紹介している。何をどう選ぶことが未来へつながるのか考えたい。