《めてみみ》とにかく出勤する

2018/09/13 06:24 更新


 21号はひどい台風だった。出張の予定が延期になり、当社の大阪と京都支社は前日に休業が決まったため、自宅にいた。台風が近づき、遠ざかるまでの数時間、猛烈な風で家が揺れた。これまでにない体験だ。とても外を歩ける状況ではなかった。出張に行っていたら、出勤していたら…と思うとゾッとする。

 小売り店でガラスが割れたり、繊維関連工場の屋根が吹き飛ぶなど大きな被害が出て、関西国際空港も一部復旧にとどまる。大規模な停電は今も続く。直後に北海道で大地震があった。6月には大阪府北部地震、7月の西日本豪雨、そして今回の台風と関西では大きな災害が続く。

 強烈な台風だったにもかかわらず帰宅難民などの被害が限られたのは、なかなか進まなかった防災意識が一気に高まったからではないだろうか。特に鉄道が止まる影響は大きい。鉄道の計画休止に対して「不便だ」と批判する声も強いが、止めてくれて良かった。もし運行していれば出勤していた人はもっと多かったはずだ。

 台風が通過した翌日、台風被害で自宅が過酷な状態にあっても多くの人が会社に向かい、通勤電車は満員だった。「とにかく出勤する」。この意識は何だろうか。この勤勉さが経済を回し続ける。しかし、縮小する日本市場では勤勉さが業績に結びつかないことが多く、もどかしい。



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