今月から公開される映画「ドリス・ヴァン・ノッテン、ファブリックと花を愛する男」を先立って見ることができた。通算100回を超えるファッションショーを振り返りながら、クリエイションの一端を解き明かす映画になっている。映像を通じてドリスの人柄も伝わってくる。
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「ファッションという言葉は嫌い。ファッションだと半年で終わってしまうから。時代を超えたタイムレスな服を目指している」「私は幸せなデザイナーだ。私の望む生地を世界中から提供してくれるのだから」「ファストファッションのようにすぐに飽きられてしまうものではなく、半年経っても違う着方ができる服を」。映画の中のドリスの言葉が心に響く。
100回を超えるショーのうち、どれくらいを現場で見ただろうか。初期のフォークロアを背景にしたコレクション、様々なエスニックを背景にしたコレクション、時代や地域をミックスしていく今のスタイル。そのミックスセンスやバランス感覚に何度も驚かされた。
映画で明らかにされなかったことの一つに、ドリスがベルギーの新人を支援し続けていることがある。会社を売却するか悩んだ時期もあり、インディペンデントのデザイナーの厳しさをよくわきまえている。そんなドリスだからこそできる新人支援の活動も広く知ってもらいたい。